コラム

拝啓経営者殿

 相続対策



 相続税には、残された配偶者や相続人にのみ認められた軽減される制度がありますが、

今回は二つご紹介します。


 ①配偶者の税額軽減

  配偶者が受け取る遺産については、最低でも1.6億円まで相続税がかからない。

  但し、遺言がある、または、相続人間で分割協議が整っていることが必要。(未分割はNG)

 ②生命保険金の非課税枠

 (法定)相続人の数×500万円 までは死亡保険金に相続税がかからない。


 さて、私には現預金が1億円あります。(現実の私にはありませんが。)

 私が亡くなった場合の相続人は、妻と子供2人の3人。 

 相続税を節税し、なるべく多い遺産を残すため、預金1,500万円で子供2人が750万円ずつ受け取る生命保険を妻に内緒で契約しました。

 これで、預金のうち1,500万円は相続税がかからない財産にできました。

 めでたしめでたし。 とならない場合があるのです。

 その後、私が死亡し、子供達は相続税のかからない保険金を受取りました。

 相続税の節税には成功しましたが、私の妻は悲しんでいます。

 「夫は、私の生活のためのお金を残したくなかったのだろうか。」

 そうです。私の意図は妻に伝わっていないのです。

 そんな妻を私は天国から悲しい目で見つめています。

 また、妻がそんな気持ちでは、子供達と私の遺産を仲良く分けられるか不安です。


 相続対策は、揉めないこと。その後の遺族が仲良くあることが大切です。

 今回は、妻に私の考えを伝えておくべきでした。

 心の通った相続対策。

 ぜひ皆様にも取り組んで頂きたいと思います。

                                                      2025.06.15 

                                                                           税理士 野澤 和也